entee memo
課題が見出される庭園 - Annex:祖型と反復、宗教と象徴、神話と図像
――「あらゆる手立てを尽くして正否を明らかにしなければならないほどに
例外的に重要な論件」としてのエゾテリスム釈義

2010-02-08

虫食いとなる!《みどり》のゆうちょ銀行、終焉への布石

日本人が額に汗して稼いだお金をすべて吸い取ってそれが当然のことであるという態度のアメリカ合州国。65年前に決した勝負の結果の延長線上に支配と被支配の構造を固定化した覇権国アメリカ。

以下は、朝日新聞に掲載された短い記事だ。

(貼付け開始)
ゆうちょ銀の資金、米国債で運用も 亀井大臣が見解
2010年2月4日1時30分

 亀井静香金融・郵政改革相は3日、日本郵政グループのゆうちょ銀行の資金運用について、米国債や社債などに多様化していくべきだとの考え方を示した。郵政見直しではゆうちょの預け入れ限度額の引き上げも検討されており、亀井氏は資金の増加が見込まれるとして、運用先も広げるべきだとの立場だ。

 亀井氏は記者団に対し郵政見直しについて「手足を縛られて営業をしているわけだから、現実にあった形にしていく」と発言。昨年12月末で約180兆円のゆうちょ銀行の貯金残高の増加が見込めるとした上で、米国債など日本国債以外の運用が「もう少し増えると思う」と述べた。

 ゆうちょ銀行は昨年12月末で約180兆円を有価証券で運用しているが、9割近くは日本国債で米国債はほとんどなく、社債も約12兆円にとどまっている。
(貼付け終了)

オバマ大統領の登場とその人気の急落。これは選挙前から仕組まれていたシナリオ通りの流れなのであろう。米政権が共和党から民主党に変わってアメリカの政治や外交政策が変わったかと言えば、少なくとも植民地である日本に住む国民の目から見ればまったくその本質は変わっていない。口先ではたくさん甘い約束をして安心させ、リベラルな外交方針を見せて期待を膨らませておいて、その実、大戦後に固定化された日本からむしり取るその日米関係に、なんの本質的な転換もなかった。

今回の亀井大臣の「見解」が、実際はやる気のない、対アメリカのリップサービスであるのか、あるいはそのような体裁をとった日本国民に向けての警鐘としての意味を持たせているのか、その本質は憶測する以外にないが、「ゆうちょ銀の資金、米国債で運用も」というメッセージは、われわれほぼすべての日本人にとって極めて重要な意味を持つ。

「土日に自分の預金からお金を下ろしてもATM手数料を取られない。さすが郵貯だ」などと思っていたら、この便利で競争力もある日本最大の銀行のお金は、処分することのできない紙切れを大量に購入するために使われることになる。

つまり、今後、日本人の預けているゆうちょ銀行の預金が間接的に、将来回収できる見込みのないドル建ての債券に置き換わっていくということだ。「どこに貯金をしようが、変わらない、好きな時に下ろせるなら、どこも一緒」と考えているのであれば、それはお目出度いとしか言い様がない。われわれが自分の意志で米国債を買うのではなく、ゆうちょ銀に口座を持っているすべての利用者は、それを間接的に買わされるのだ。そして、(当然の如く)それらの債券が焦げ付いたとき、そのゆうちょ銀が不良債権を抱えることになる。これは自分たちの預けたお金が返してもらえなくなることと全く本質は変わらない。



ネットを見ていると、このことと小沢の不起訴の決定がタイミング的にリンクしているという単純な事実から、 >> 小沢氏不起訴の交換条件に「ゆうちょ銀行の180兆円の資金運用を米国債でする」ことになったのではないか? << などと憶測するスジが出てきているが、これは原因と結果を読み違え、小沢を更なる窮地に貶めるものだ。小沢は確かに不起訴という結果を戴いたが、すでに彼はこうした一連の「不祥事報道」によって実質的に裁かれているのである。起訴になったか不起訴になったかという違いは、誤差の範囲である。むしろ、彼はこうしたゆうちょ銀行のあやまった資金運用などをさせないように抵抗していたのであり、むしろ小沢=亀井らはその闘いに敗れたのである。つまり、まさにこうした結果を招来しないようあらゆる努力をしていた小沢が、自分の身柄の自由(不起訴)などと引き換えに国民の金をアメリカに差し出す様なことをする筈がないのである。そうした読み違えは、自分らの本当の敵と味方の区別を読み過つ重大なる過失である。

彼への圧力は、起訴/不起訴の決定の日が近付くに連れ出てきた米トヨタのリコール判断という、いわば「街一つなくなるほどの大規模の《爆撃》」を通して行なわれた。小沢への圧力は米政府への服従とゆうちょ銀行の金の運用という《実績》を見せることで一旦の終息を見せるかもしれないが、まさにこれこそが小沢が守ろうとしていた日本人の国益であったのだ。

アメリカが要求していることは小沢の政治的屈服である。しかるに、小沢に残されたものは、ひょっとすると「不起訴」という分かりやすいメッセージで彼はメンツだけを保った状態のまま、政治的な屈服を認めさせることだったのかもしれない。つまり、小沢は既に負けを認めてしまった可能性があるということである。考えたくないことであるが。

こうした重要な政治の動きがヴァンクーヴァー五輪などのお祭り騒ぎの陰に隠れて、きちんとモニターできなくなるのは、われわれにとっての大きな損失だ。



われわれができるひとつのこと。それは全国にネットを持つ郵貯の窓口に行って、「もしあんたらが《米国債》なる不良な債権を運用先として購入を実行に移すなら、自分たちの預金を守るために資金を引き上げざるを得ない、つまり預けている預金を全額下ろす。だからそうして欲しくなければ上司にそのように言え」と伝えることだ。それを全国で展開するのだ。これはゆうちょ銀利用者による全国規模のボイコットである。

預金が無くなればそもそもそのお金を外資に垂れ流す様な「運用」することはできない。
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20:20:00 - entee - TrackBacks

2009-09-17

オヤジ殿は、「鉄砲玉」を街に放つか?

相手を脅威から守ると見せかけて、実はその脅威を利用して相手を脅す。これはヤクザの古典的な脅しの手法だ。

さっそく民主党圧勝のニュースを受けて、入った来たのが添付してあるニュースである。すでに古くなりつつあるが、やはりアップしておく。
北朝鮮ウラン濃縮
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結論から言うと、北朝鮮による「ウラン濃縮」のニュースは、民主党圧勝と、日本で始まりそうな気配のある対米不服従傾向への牽制球である。もちろん投げて来ているのは合州国である。

国内で報じられているニュースの上っ面だけを信じるならば、北朝鮮によるこうした挑発行為は、アメリカ合州国政府への示威行為のようなものに写るかもしれないが、そうした挑発行為の直接の対象は日本である。

[ここで書くことは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への一方的な批判の言辞のように響くかもしれないが、それは便宜的に問題圏を現在進行しつつある政治状況についてだけに焦点を当てているからである。そもそもどうして北朝鮮が現今のような状況になっているのか、ということは歴史的な文脈で捉えなければ理解できない。過去の日本の半島への政治的関与が、実は大きな影を落としていて、そのために朝鮮半島はふたつの国家に分断されているのだし、同族同士大いに血を流した。当然、日本は朝鮮半島に於けるこの殺し合いの一方のサイドに与したし、それによって経済的にも潤いもした。そういった歴史的背景のために北朝鮮が日本のことを恨みに思い、あからさまな敵視をしているという実情があることが、歴史の因果関係の文脈として捉えるほどに、一層分かってくるのだが、そうした一切を一旦無視することでしか、以下のことは書けないのである。]

金正日という存在はヤクザものの映画で譬えるなら、いつでも目に物言わせてやろうと考えて自分の活躍のチャンスを狙っている、熱過ぎる「鉄砲玉」のような役どころである。彼を押さえつけている手を離せば弾けるように飛んで行って、こいつだと思うヤツを刺そうと思っている。もちろん彼がここまでアツくなっているのは、そうなるように嗾(けしか)けている幹部たちがいるからだ。これは、伊丹十三監督作品の『ミンボーの女』において柳葉敏郎演じる「鉄砲玉」を想起すれば良い。

北朝鮮の権力と合州国の権力がすでにテーブルの下である種の結託していると考えると、北朝鮮の動きはすべて「オヤジに認めてもらいたいばかりに手柄を挙げることしか眼中にない行為」として読める。北朝鮮が繰り返し訴えているように、自分たちを攻撃しない約束を取り付けたいというのはあるかもしれないが、表面上、合州国政府はそのような相手に都合の良い約束をしないように見えつつも、裏では「攻撃はしない」という合図をすでに送っているはずだ(むろんそれが最後まで約束を守り切ることは意味しないものの)。

むしろ北朝鮮がそのように振る舞うことで極東アジアの地で「適度の緊張」を維持することが合州国の国益に適っているので、合州国政府はそれを本気で止めさせる気はない。それどころか、合州国政府からの具体的指示で北朝鮮がそのような役どころを演じていると考える方がむしろ自然である。つまり、過去の核実験も含め、基本は許された範囲で行なうジェスチャーなのだということだ。

このことがウラン濃縮作業というのを本当にやっている可能性を否定するものではないが、こうした一連の行為、そしてそれをやっていると声高に宣言する行為は、アメリカが自ら武力を背景に他国を脅す(かつてリビアのカダフィに対してやった方な)よりも、自分自身の評判を落とすことなく、しかも必要な脅しという効果を上げることができる。「ウチの若いもんの中には、ちぃと血ぃの気の多いのがおるさかいナ、早まるな言うても聞かん。こちとらは精いっぱい抑えてるにしても、気ぃつけた方がええで」と、アツくなって今にも人を刺しそうな「鉄砲玉」を見せるのである。嗾けておいて、自分たちは「せいぜい止めようとしているんだが」というジェスチャーだけを採るわけである。

抑えている手を離して鉄砲玉を「走らせ」た時、幹部たるオヤジがどうするかによって、脅された相手からオヤジへの恭順を引き出すことができる。鉄砲玉の手にするドスが日本の脇腹を刺すすんでのところでオヤジが鉄砲玉を徹底的に叩けば、オヤジは面倒な手下(鉄砲玉)の厄介払いと、日本からの恭順の両方を引き出すことができるのである。

問題はオヤジが本当に今回の日本における状況を、どこまで「抵抗」であるとみるかである。復興後の40年間、むしり取られるだけむしり盗られ、それでも「守ってもらっているから」の一点だけでそれを我慢して来た。だが、そのために自分たちの血と汗と涙という努力で稼いで来た自分たちの財産を巧妙に国民から隠しながら宗主国に貢ぐことを可能にして来た55年体制が終わったのは、それが選挙民のある種の「無知」によるものだとしても、国力そのものを貢ぎ物のために落として生活に困窮することがこれもはやできない、というところまで来ている証しだ。

こうした第三の脅威という「鉄砲玉」を使って、巧妙に自分たちの影響下に置こうとする帝国の脅しに屈しないためにも、われわれの外交戦略は賢くなければならない。そのために必要なのは、あのオヤジ殿以外との関係の回復である。つまらない「愛国心」に惑わされることなく、安全な国の状態を維持するための多元的外交が今こそ必要なのだ。それを真剣に行なっている良心的行為こそが本物の国益を考える者の名に値するのだ。
09:05:04 - entee - TrackBacks

2009-09-05

権力党の出現
(二党独裁制の方がマシだった、と嘆息する日)

何かが腑に落ちない。何かがおかしい。(09年)8月30日の衆院選以来の、と言うより、衆院選挙戦に向けての準備が開始されて以来の、メディアを中心とする動きなど、すべてに対し畏怖のようなものを感じる。これは本当に「愛でたい状況」なのか? 勝利を祝っている場合なのか? 念のために言っておくが、自民党の崩壊は言祝ぐべきことである。

これは政治家・小沢に対する評などとは根本的に異なる問題圏についての話。何度も言うように、政治家に対しての「全面的信頼」や「虚偽の有無」ということを云々すること自体がナンセンスである。なにしろポリティクス(政治)なのだから。したがって今回の選挙の結果──民主党への雪崩的な傾斜──についての「政治家を巡る評」というよりは、そのような選挙結果を招来させた「有権者やメディアを巡る評」というのを数日以内で何らかのかたちでやらねばと思っていた。

そう思っていたら元外務省主席分析官の佐藤優氏がさっそく選挙翌日の東京新聞夕刊で今回の選挙戦について語っていた(おそらく選挙前に用意されていた原稿である)。瞬時に彼が自分の言わんとしていることを言語化しているのを悟った。だからほとんどつけ加えることがないほどなのであるが、若干の自分なりの論考をしてみたい。
東京新聞「放射線」佐藤優(08.31.2009)
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いちばんモヤモヤしていたところは、こうした一政党による圧勝という方向性は(その政治指導者が誰であるかということとは別に)、いわゆる戦前の国家社会主義ドイツ労働者党を圧勝に導いた民衆の熱狂にも近い気がするのである。自分は民主党が唯一にして無二の独裁党になるということを強調したいのではなくて、結局日本の有権者は何らかのかたちでの一党独裁を期待しているのではないか、という予感について話しているのである。つまり名前が自由民主党から「自由」が消えて民主党になるというだけの話なのではないか、という予感について...

一党独裁と二党独裁のどちらを選ぶかと言えば、二党独裁の方が比較的マシである。だが、そもそも二大政党制(二党交代独裁制)についてはその有効性が疑わしいというのが自分の立場であったし、それを各方面の「識者」が期待しているらしいことも分かっているが、残念ながら今回の民主党の圧勝は日本の政治を彼らの期待するような「二大政党制」には導かない。これはむしろ徹底した一党独裁への布石が敷かれたことを意味しないか? これが杞憂であることを望むがそう感じられて仕方がない。

まず、ひとつは今回の民主党の圧勝を導いたのが、国民の利益を代表していると思えないメディアの力によるところが大きいこと(当たり前だが)。そしてそのメディアによる「世論誘導」をこれほどの規模で行なえたこと自体が、さらに大きな権力構造の存在を裏付けているように思えること、がある。うまく説明できないが、結局日本が某大国の属国であるという前提的事実が、そう簡単に「国民の総意」で覆せるものとは思えない、と言い換えた方がいいかもしれない。つまり今回の民主党の圧勝さえも、植民日本の宗主国のシナリオ通りであったとしたら、今後、この体制の中でどのような某大国への利益誘導が成されるのか、ということへのモニターが欠かせないのである。政治は結局政治であって、それさえも動かすのが財界(マネー)であったり「官僚界」(貴族階級)であったりするわけだから。

佐藤優氏の東京新聞の「放射線」にこういうところがある。
(引用開始)権力は空白を嫌う。自民党が崩壊した隙間を、民主党が埋めたにすぎない。その結果、真の「権力党」が生まれた。(略)社会にはさまざまな利害対立がある。その社会の部分を代表するのが政党だ。部分の代表者が議会で討論し、合意を形成するというのが議会制民主主義の基本だ。ただし、権力党はこのような政党ではない。権力党は部分の代表ではなく、全体の代表であるという自己意識を持っている。(引用終了)

これはまさに自分が心配をしていたモヤモヤの部分を、一気に払拭する状況把握であると思う。

彼はこうも言う。
(引用開始)ソ連共産党がこのような権力党だった。権力党は事実上、国家と同じ機能を果たす。これは民主主義にとって危険だ。(引用終了)

彼は「民主党に対する世論のチェックが重要になる」と結んでいるが、ここだけが自分の見解と違う。今回のことで、この時点で民主党の動きに不用意なブレーキを掛けるような、すでにメディアが開始しているような生き残りの自民党政治家に共感しているような中傷報道の類は、世論のチェックとはまったく質の異なるものだ。無論そのようなことを佐藤氏は言っていないが、このコラムを見た読者の中にはそのように思う人間もいるかもしれない。民主党に対するモニターは必要だが、これまでの自民党政治による国民生活のダメージを癒すための政策ならば、一気に進めるべきだと思う。ここでわれわれは、「すべての政党に対する国民によるチェックが必要だ」ということなのではないかと思うのである。



徹底して嫌いになった小泉政権の残した(と信じられた)負の遺産を清算すべく、自民党に対して有権者が初めて厳しい裁断を下したら、嫌いな小泉の目指した「自民党をブッ壊す」という公約が実現した。

「放射線」にて佐藤優氏が指摘したように、自民党の自滅が小泉の背負っていたミッションであるとするなら、嫌いな小泉のゴールを国民が自らの投票によって完成したことになる。そして、そのミッションを小泉に背負わせた影の立役者(オヤジ)は、そもそも誰だったのかということを思い出さなければならない。
10:24:47 - entee - TrackBacks

2009-08-19

最高裁判所裁判官の国民審査で断じて「×バツ」を付けるべき裁判官

(1)× 竹博允(たけさきひろのぶ)  最高裁判所長官 
(2)× 那須弘平(なすこうへい)  最高裁判所判事
(3)× 竹内行夫(たけうちゆきお)  最高裁判所判事
(4)× 近藤崇晴 (こんどうたかはる)  最高裁判所判事

(1)竹博允 
最近導入された裁判員制度を実現させたという実績だけで長官になった。


(2)那須弘平

佐藤優(さとうまさる)氏の 最高裁への上告を、この7月1日に棄却(ききゃく)。

(3)竹内行夫

小泉政権時代に、駐レバノン大使だった天木直人(あまきなおと)氏が、「アメリカべったりの小泉政権のイラク戦争支持に反対する」と言って、外務省の方針に公然と刃向(はむ)かって外務省を解雇 (免職、めんしょく)になった天木氏のクビを切った責任者。鈴木宗男(すずきむねお)氏と佐藤優(さとうまさる)氏を、外務省の北方領土問題のことで罠(わな)に嵌(はめ)て失脚させた時の責任者。

(4)近藤崇晴

植草一秀氏の「痴漢(ちかん)えん罪事件」の上告棄却(じょうこくききゃく)をした裁判官。

もっと詳しい情報
18:00:00 - entee - TrackBacks

2009-04-04

ミサイル報道を巡る、いくつもの矛盾した疑問

とにかくどの前提を正とするのかという判断で、いくつもの段階に異なる問題圏に属する疑問があり、簡単な結論は導けないというのが実感である。しかるに...

「人工衛星は簡単にミサイルに転換できる」という主張は、おそらく理論上「正しい」のだが、だからと言って他国の発射物を無条件に撃ち落とすという主張に正当性があるのか? この際それは関係ないという論理もある。その主張の理屈によって、ある国が打ち上げるものを他国が迎撃できるのであれば、日本が種子島から打ち上げられる人工衛星は他国によって迎撃されていいということになる。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の打ち上げる人工衛星だけが危険であるなら、その根拠はどこにあるのか? これが疑問の第一。

今回打ち上げようとしているものが、確かにミサイルであった場合(その場合その弾頭が何であるのかというのも確かめる必要のある内容だが)、それによって達成しようとしている目的を、本来われわれは第一に問題にすべきではないのか? それが単なる挑発行為だという場合、その挑発行為によって、一体北朝鮮は何を得るのだろう。そしてその行為による最大の利益の享受者は誰だろう。こうした疑問はむしろ普通に問われていいことだ。だが、それを正面切って問う動きがあるように見えない。

では、今回のことが「挑発行為」だとして、その行為は文字通りの意味で「実在する」のであろうか? これは疑問の第三。われわれ一般市民はテレビの報道を鵜呑みにするしかない立場だ。実在しないかもしれない行為、確かめようの無い「事実」によって、われわれは戦争状態に入るべきなのだろうか? そもそも飛ばすべきものが北朝鮮にあるのか?(その飛ばすべきものが人工衛星であるのか核弾頭であるのかは問わずに) 

今のところ、「飛ばすべきもの(= 核兵器の場合)」が完成していると主張しているのは、北朝鮮自身と合州国の国防総省のフライング発言のみである。だが、北朝鮮に脅威があるというこのリークによって喜んだのは北朝鮮自身だった。これは彼らが自身を脅威と見られるリスクを選んでいるということだ。これは唯一確かなことだ。

だが、米政府の正式な立場は、北朝鮮を核保有国とは看做さないというもので、その建前を信じるならば、「北朝鮮に脅威は無い」ということになる。これも矛盾だ。これは疑問の第4だ。

さて、この唯一確かなこと(すなわち自身を脅威と見られたいという北朝鮮の意志)、そしてそれを脅威と看做そうとする日本政府の紋切り型の対応は、単なる判断ミスではないのか? 北朝鮮がそう見られることで得られる利益とは、単に交渉を有利に運ぶための、すなわち「力を背景にした外交路線」のためのライセンスなのか? いやむしろこれはどこまでいっても手段であって目的とは言い難い。脅威と見られることを是とする理由が分からない。これが疑問の第5だ。

一つ想像できるのは、北朝鮮のあらゆる行動はすべて合州国の目論み(あるいは想定)によって動いているといういつものアレだ。つまり発射台における準備も、かつての核兵器完成の喧伝も、すべて合州国の国益に適っているという隠れた事情だ。

それが実体的なものか否かにかかわらず、北朝鮮の主張するように、彼らに脅威を感ずべき根拠があるとすれば、それは日本の安全に影響があり、日本の政府も無関心でいることはできないという政治の世界での「常識」を利用した陰謀である。日本に戦争をさせたがっている(あるいは戦争に参加させたがっている)のは、日米同盟の邪魔となる憲法9条不要論を繰り返し唱えるアーミテージの発言を牽くまでもなく、実は合州国政府であって、それを北朝鮮との密約によって金正日に「悪者」を演じさせて、その演技料を支払う。これは、サダム・フセインの支配するイラクで起きたことを考えると、実にリスクの高いパフォーマンスであるとは思うが、失うものがすでにない北朝鮮にとっては、ことによると戦争という異常事態を利用しての現状打開を(金総書記の意志と関係なく)模索せざるをえない勢力が北朝鮮に実在することを意味するかもしれない。

戦争と言うが、どのような戦争をわれわれは想定すべきなのか? 日朝双方から超音速ジェット機が飛び交い、互いの都市を爆撃し合うような戦争なのか? それとも日本海沿岸の各地にボートを着けて歩兵部隊が一斉に上陸してくるような戦争なのか? 

どう考えてももう一つ確かなことは、この戦争によって利益を上げるのは一般の市民ではない、ということだ。

原因不明の爆発が東京の都心で起こり、「空から何らかの飛来物が来るのを観た」とかいう証言や、特撮画像のひとつがあれば、北からの攻撃だと看做されるのだろう。戦争など、それをやる意志さえあれば、いくらでもその理由は捏造できる。ということは、問題は、その《意志》を持ってしまっているかどうかなのだ。多くの日本人はそのような《意志》からは縁遠いように見える。








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