entee memo
課題が見出される庭園 - Annex:祖型と反復、宗教と象徴、神話と図像
――「あらゆる手立てを尽くして正否を明らかにしなければならないほどに
例外的に重要な論件」としてのエゾテリスム釈義

2007-07-29

“ヴィーナスの丘”と褥の皺と [5]

肝心なことは前回で言い終えた。したがって第五回は本シリーズにおける補遺として。

Venus_Earth_Comparison

水星や金星、そして地球や火星が「地球型」惑星であることは知られたことである。地球型惑星の中でも、金星と地球、この二つの惑星は双子の惑星といわれるほど「出自」が似ているとも言われる。だが、その似ている程度がどれほどのものなのかというのは余り知られていないかもしれない。

とりわけそれぞれの持っている大気が惑星の形成段階の初期にはきわめて似ていたという話は実に興味深いことである。現在、膨大な量の二酸化炭素によって金星の地表における大気圧はおよそ90気圧もあり、地表温度は400度。一方われわれ生命の生存可能な我が地球の環境。それらがかつて似ていたというのはにわかに想像しがたいことである。だが、どちらの天体にも似たようなきわめて濃厚な二酸化炭素を大気に持っていたのは確からしい。

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2007-07-28

“ヴィーナスの丘”と褥の皺と [4]

Madeleine mold

ラテン語名、Venus/Uenus ヴィーナス/ウェヌスが、現在のように「太陽系における太陽から2番目の惑星」の意味で使われるようになるのは、文献的には1290年のこととらしい*。すなわち、文献学的には「ヴィーナス即ち(日本語の)金星」というのは、千年を遡ることができないことになる。

* ONLINE ETYMOLOGY DICTIONARY

だが「ヴィーナス」以前に、金星が「性愛の女神」やそれに準ずる意味の神話上の登場者の名称で呼ばれるようになる例としては、ギリシア時代の「アフロディーテ Aphrodite」を忘れるわけにはいかないし、古代メソポタミアのアッカド語の「イシュタル/イシュター Ishtar」、またシュメール語の「イナンナ Inanna」というのが先行する。そしてそれらのどれもが「明けの明星」や「宵の明星」(要するに「太陽系の第二惑星」)の意味でも使われているのである。このように考えると、ラテン語においてウェヌス(ヴィーナス)の名で伝えられるもの──「性愛の女神」と「第二惑星」の両方の意味を持つ名称──の歴史は、少なくともわれわれの歴史時代の最古層にまで容易に遡ることができると言うことができよう。

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2007-07-27

“ヴィーナスの丘”と褥の皺と [3]

隠すことは、隠される存在を前提とする。したがって如何なる隠そうとする試みも、「そこに何かがあること」を却って人に知らしめる逆説を孕んでいる。

Botticelli's Birth of Venus [1]

Rafael Galatea [2]

Adriaen Collaert [3]

Doubtful love [4]


洋の東西を問わず、多少なりとも人間は性器をそのようなもの(秘部)として扱ってきた。「隠される」ことでそれは必ずいつの日か一定の条件のもとで「晒されたり」場合によっては「共有され」さえするものに変質するのである。こうした性に対するタブーに付きものの逆説的な「法則」は、まさに隠され続けた正統的な“歴史的”事実が、《オカルト》(隠秘学)において扱われるのと同じように働いた。隠しながらもそれを確実に保存し、後世に伝えなければならないという矛盾した命題は、その秘密や証拠の破壊という選択肢をわれわれの手に完全に委ねることをしなかった。破壊せずに隠す、隠しながら伝える、というのがまさに《真性オカルト*》の本質なのである。そこに最も古い象徴主義が出現する。

* 《オカルト》の定義については、拙論「真性《オカルト》論について」を参照のこと。

KUMIKO Takeda with three shells [5] MARI Keiko with body suit [6]

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2007-07-26

“ヴィーナスの丘”と褥の皺と [2]

Royal Dutch Shellの商標登録されたマークにも見られるような簡略化された形状を通して、図像のもっとも元型的な成分は純粋に抽出される場合がある。そしてそれら簡略化された図像は、拙論『Ω祖型とは何か』でも論じてきたように、いずれも「世界の超歴史的回帰(周回性)」を示唆する記号としての役割を果たしている。あるときは刈り取られ束ねられた麦の穂のような、あるいは鍵穴のような、そしてあるときは貝殻のような「Ω」の形状を通して。だが、そうした重要な意味合いを含む「Ω」状の図像のなかでも、このたび取り上げる貝殻には一見それとは無関係な、以下に述べるような無視できない別側面がある。それは性愛の神ヴィーナス(アフロディーテ)との関係である。

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2007-07-25

“ヴィーナスの丘”と褥の皺と [1]

奇しくも7/25の「聖ヤコブの日」と重なった亡父の一周忌に

帆立貝のような二枚貝の貝殻は、サンティアゴの巡礼者たちが携行することで知られるもので、多少なりとも秘教に関連した「求道者の目印」である。その名を「ヤコブの帆立貝 Pecten jacobaeus」と呼ぶ。またキリスト十二使徒の一人、聖ヤコブが元漁師であったという聖書中の逸話からか、貝殻が聖ヤコブの紋章となっている。どのような裏の真相があるかはともかくとして、聖ヤコブと帆立貝は結びつけられて記憶されている。

Santiago (Shell)[1] Shell & Hyotan[2]

サンティアゴは「聖ヤコブ」を意味するスペイン語であり、そのまま使徒ヤコブの遺骸が見つかったとされるその地の名前となっている。欧州各地からその聖地に至る巡礼路が「サンティアゴの道」と呼ばれるのであるが、その最終目的地を目指す巡礼の道行きは、同時に「絹の道」の最終地点とも言うべきユーラシア最西端を訪れる旅でもある。9世紀に見つかったとされる遺骸が本当に聖ヤコブのものであるかどうかはともかくとして、キリストの十二使徒の一人は確実に大陸の西方に向かって旅をし、その「教化の旅」はついに大陸の最西端まで至ったのだということが十分に象徴的に表現されていると言って良いであろう。

図版引用先:
[1] Fremont Coffee
[2] The Organization for Security and Co-operation in Europe

参考サイト
フランス巡礼路紀行




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