entee memo

権力党の出現
(二党独裁制の方がマシだった、と嘆息する日)

何かが腑に落ちない。何かがおかしい。(09年)8月30日の衆院選以来の、と言うより、衆院選挙戦に向けての準備が開始されて以来の、メディアを中心とする動きなど、すべてに対し畏怖のようなものを感じる。これは本当に「愛でたい状況」なのか? 勝利を祝っている場合なのか? 念のために言っておくが、自民党の崩壊は言祝ぐべきことである。

これは政治家・小沢に対する評などとは根本的に異なる問題圏についての話。何度も言うように、政治家に対しての「全面的信頼」や「虚偽の有無」ということを云々すること自体がナンセンスである。なにしろポリティクス(政治)なのだから。したがって今回の選挙の結果──民主党への雪崩的な傾斜──についての「政治家を巡る評」というよりは、そのような選挙結果を招来させた「有権者やメディアを巡る評」というのを数日以内で何らかのかたちでやらねばと思っていた。

そう思っていたら元外務省主席分析官の佐藤優氏がさっそく選挙翌日の東京新聞夕刊で今回の選挙戦について語っていた(おそらく選挙前に用意されていた原稿である)。瞬時に彼が自分の言わんとしていることを言語化しているのを悟った。だからほとんどつけ加えることがないほどなのであるが、若干の自分なりの論考をしてみたい。
東京新聞「放射線」佐藤優(08.31.2009)
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いちばんモヤモヤしていたところは、こうした一政党による圧勝という方向性は(その政治指導者が誰であるかということとは別に)、いわゆる戦前の国家社会主義ドイツ労働者党を圧勝に導いた民衆の熱狂にも近い気がするのである。自分は民主党が唯一にして無二の独裁党になるということを強調したいのではなくて、結局日本の有権者は何らかのかたちでの一党独裁を期待しているのではないか、という予感について話しているのである。つまり名前が自由民主党から「自由」が消えて民主党になるというだけの話なのではないか、という予感について...

一党独裁と二党独裁のどちらを選ぶかと言えば、二党独裁の方が比較的マシである。だが、そもそも二大政党制(二党交代独裁制)についてはその有効性が疑わしいというのが自分の立場であったし、それを各方面の「識者」が期待しているらしいことも分かっているが、残念ながら今回の民主党の圧勝は日本の政治を彼らの期待するような「二大政党制」には導かない。これはむしろ徹底した一党独裁への布石が敷かれたことを意味しないか? これが杞憂であることを望むがそう感じられて仕方がない。

まず、ひとつは今回の民主党の圧勝を導いたのが、国民の利益を代表していると思えないメディアの力によるところが大きいこと(当たり前だが)。そしてそのメディアによる「世論誘導」をこれほどの規模で行なえたこと自体が、さらに大きな権力構造の存在を裏付けているように思えること、がある。うまく説明できないが、結局日本が某大国の属国であるという前提的事実が、そう簡単に「国民の総意」で覆せるものとは思えない、と言い換えた方がいいかもしれない。つまり今回の民主党の圧勝さえも、植民日本の宗主国のシナリオ通りであったとしたら、今後、この体制の中でどのような某大国への利益誘導が成されるのか、ということへのモニターが欠かせないのである。政治は結局政治であって、それさえも動かすのが財界(マネー)であったり「官僚界」(貴族階級)であったりするわけだから。

佐藤優氏の東京新聞の「放射線」にこういうところがある。
(引用開始)権力は空白を嫌う。自民党が崩壊した隙間を、民主党が埋めたにすぎない。その結果、真の「権力党」が生まれた。(略)社会にはさまざまな利害対立がある。その社会の部分を代表するのが政党だ。部分の代表者が議会で討論し、合意を形成するというのが議会制民主主義の基本だ。ただし、権力党はこのような政党ではない。権力党は部分の代表ではなく、全体の代表であるという自己意識を持っている。(引用終了)

これはまさに自分が心配をしていたモヤモヤの部分を、一気に払拭する状況把握であると思う。

彼はこうも言う。
(引用開始)ソ連共産党がこのような権力党だった。権力党は事実上、国家と同じ機能を果たす。これは民主主義にとって危険だ。(引用終了)

彼は「民主党に対する世論のチェックが重要になる」と結んでいるが、ここだけが自分の見解と違う。今回のことで、この時点で民主党の動きに不用意なブレーキを掛けるような、すでにメディアが開始しているような生き残りの自民党政治家に共感しているような中傷報道の類は、世論のチェックとはまったく質の異なるものだ。無論そのようなことを佐藤氏は言っていないが、このコラムを見た読者の中にはそのように思う人間もいるかもしれない。民主党に対するモニターは必要だが、これまでの自民党政治による国民生活のダメージを癒すための政策ならば、一気に進めるべきだと思う。ここでわれわれは、「すべての政党に対する国民によるチェックが必要だ」ということなのではないかと思うのである。



徹底して嫌いになった小泉政権の残した(と信じられた)負の遺産を清算すべく、自民党に対して有権者が初めて厳しい裁断を下したら、嫌いな小泉の目指した「自民党をブッ壊す」という公約が実現した。

「放射線」にて佐藤優氏が指摘したように、自民党の自滅が小泉の背負っていたミッションであるとするなら、嫌いな小泉のゴールを国民が自らの投票によって完成したことになる。そして、そのミッションを小泉に背負わせた影の立役者(オヤジ)は、そもそも誰だったのかということを思い出さなければならない。

posted at 10:24:47 on 2009-09-05 by entee - Category: Politics! TrackBacks

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